MICHINORI

みちのり

みちのり

ロケ地協力:DANCE HOUSE 黄金4422

みちのり

ブランディング動画、web番組、映画制作、ミュージックビデオ制作など多岐に渡って活動するメンバーが在籍するウェディングビデオグラファーチーム「みちのり」の代表佐藤良祐さん。もともとは映画を撮っていたという佐藤さんのルーツと、結婚式の映像制作について聞きました。

劇場公開まで何年もかかる映画を撮っていた僕からすると、
撮ったその日にスクリーンで上映される結婚式の映像に最初は驚きました。

18歳頃から映画制作を学び始め、20歳の頃に監督した映画が国内の映画祭のコンペティションに選出。その後、東京・名古屋での劇場公開も実現させ、ドイツなど海外の映画祭でも招待上映された経験を持つビデオグラファーの佐藤さん。映画制作が、ウェディングムービー制作のお仕事に繋がっていった経緯を伺いました。
僕が映画を撮っていた時、制作から劇場での公開まで4、5年くらい時間がかかりました。僕が20代の頃はミニシアターブームだったので、映画祭での入選や受賞を経由した監督が、頑張れば自主配給という形で劇場公開までたどり着けました。
 
だからと言って、誰でも公開ができるわけでもなく、非常に厳しい世界でした。20代前半の頃、僕も劇場公開を目指していたので、色々と活動していく中で、面白がってくださるプロデューサーさんとの出会いがあり、劇場公開が実現しました。ただ、それでも劇場で公開するのは本当に難しくて、公開までに当然のように右往曲折ありました。劇場公開を終えたのが20代半ばで、これからうまく進められても次の公開の頃には30歳を過ぎるわけで、本当にこのまま続けていけるのか当時は少し悩んでいました。
 
その頃は報道とかバラエティとか企業映像とか、フリーランスとして様々な映像制作現場での経験を積みながら映画を制作していて、その中にブライダルの撮影もありました。結婚式の1日で撮った映像を会場で編集して、その日のうちにスクリーンで上映するエンドロールを見て、当時の自分にとってはかなり衝撃を受けた覚えがあります。
 
結婚式当日、真っ暗な中でたくさんのお客様がスクリーンを見るという行為が映画上映と近いものを感じました。僕が映画を撮っていた時は、映画祭のスクリーンで上映する為に数百本の応募作品の中から十数本に選ばれなければ上映されなかったり、劇場公開までに4、5年かかったりする中で、結婚式では、それが1日で完結するのか、と驚いたのを覚えています。最初は軽い気持ちで始めた結婚式の映像ですが、新郎新婦様やプランナーさん、カメラマンさん、ヘアメイクさん達と共に創りあげる結婚式に次第にのめり込んで行くようになりました。
みちのり

結婚式当日やエンゲージメントも含めて、映像を通しておふたりの物語を顕在化することを大切にしています。

劇場公開後、映像制作会社に入り、その後にフリーランスとして独立。ブライダルの映像だけではなく、企業映像、Web動画など様々な動画制作やアーティストのミュージックビデオなども制作して活動しています。 “みちのり”は、佐藤さんのブライダル事業のためのものだそうです。
フリーランスが険しい道だということは、映画を撮っていた時も実感していたので、前職を辞める時にフリーランスになる気はありませんでした。でも、たくさんの人の後押しもあり、自分が信じているものをきちんと届けたいと思って、もう一度挑戦してみようと、独立をしました。まだまだこれからのチームですが、少数気鋭で、様々な経験を経た素晴らしいスタッフや周りのパートナーの皆様の支えの中で、「みちのり」というチームと、「みちのり」の商品をコツコツと育んできました。
 
僕たちの映像商品は大きく分けて3つあります。“ダイジェストムービー”という後日編集の映像。結婚式当日の“エンディングムービー”。“プロフィールムービー”や“オーダームービー”などのディレクション系の映像です。
 
新郎新婦様の長い人生の中で、僕たちがおふたりに関われるのは、ほんの数日間だけですから、自分があたかもおふたりのことを知っているかのように振る舞うことはしないように気をつけています。「わからない」という前提に立つこと、だからこそ「知りたい」と思うことは、映像を作る上で非常に大切な要素になっていると思います。
 
“ダイジェストムービー”
撮影時に自分が思ったこと、感じたことを出来る限り忠実に映像の中に取り入れたいと思っています。当日の中で見つけたささやかな物語の提示と、「幸せになってほしい」とか、「こういうふうに想って欲しい」という、祈りのような、そんな映像になるように心がけています。
 

Produce:FOLK FOLK Wedding

Produce:WEDDING INNOVATION


 
“プロフィールムービー”
ご実家や思い出の場所での事前ロケを行い、親御様やおふたりへのインタビューを交えて制作します。今まで言えなかったこと、そのままにしてどこかにしまっておいた小さな物語の断片を、カメラを通しておふたりと見つけていきます。
 

 
“エンディングムービー”
ゲストの方々がスクリーンで結婚式の最後に見るものですから、ショットごとの連なりを映像の原理原則に基づき忠実に作り上げていきます。ロングショット、クローズアップ、それぞれ画面の中に映る情報や量には大きな差がありますから、基本原則に忠実に、そして少しだけそこに驚きを加えられるような映像に仕上げることを心がけています。
 

Produce:CHOUCHOUBRiDAL

Produce:NEST by THE SEA

 

ショットの連なりによって生まれてくるものを大切にしたい。

“みちのり”の映像を見た人の感想に多いのが、「キレイ」「見やすい」「優しい」という言葉。なぜそんな風に感じる方が多いのか?それは佐藤さんのこだわりや原体験にその理由があることが、お話の中から見えてきました。
普段はブライダル以外でも様々な映像を制作していますので、機材面もあらゆる現場に対応できるように構成しています。その為、機材は豊富に取り揃えています。撮影では、美しい映像を撮ることが出来る単焦点レンズをメインとし、ズームレンズを含めた複数のレンズを場面に合わせて選択して撮影をしています。思い出をより美しく残していけるように、手間をかけながら撮影しています。
 
そして、そのショットを基本原理に基づきながら、丁寧に紡いでいきます。一つ一つのショットが美しくあること、それらショットの連なりによって生まれてくるものが、一体何なのか?ということを自分自身でも問い続けながら、作っています。
 
偉大な先人達の映画が、たとえ50年前の映画であったとしても、今もなお核心を突き、鮮烈な印象であり続けていることが、どういうことなのか。すぐになくなってしまうような流行りだけの技術ではなくて、どういう映像がおふたりの長い人生と共に歩んでいけるのか?ということを考えていきたいと思っています。
 

ただ単に映像を作るだけではなくて、
結婚式を共に創っていけるパートナーでありたい。

“普遍的な映像”をブライダルの映像でも表現したいという佐藤さん。NESTbyTHESEAとのつながりについても最後に聞いてみました。
みちのり
元々、僕はプランナーさんやフォトグラファーさん、メイクさんなどたくさんのパートナーさんと一緒に結婚式を作っていく過程も好きで、出来る限り式場様やプロデュース会社様と提携をして、連携を取りながら結婚式の映像を作ってきました。持ち込みとして撮影を行うよりも、プランナーさんやパートナーさんとコンセンサスを取り、お互いを尊敬しあいながら結婚式を創ることが、より結婚式を良くしていくと信じています。
 
ですので、無闇に持ち込みカメラマンとして撮影をすることを今は極力しておらず、提携先以外ではNESTbyTHESEAさんのように、持ち込み撮影が完全にOKの会場でしか撮影をしていませんでした。撮影の際、プランナーの皆さんが、色々と気を遣ってくださったり、エンディングロールの上映が終わった後に感想などを話してくださったり、快く受け入れてくださる姿勢が、本当に嬉しかったです。
 
チャペルの大聖堂、バンケットもアンティークで、時を経て立ち上がっていく独自の物語を感じました。そして何よりも、既存の仕組みや制度に囚われない、自由度が高い式場だと思います。
 

profile

「みちのり」

東海地区を中心に、web動画、企業動画、ミュージックビデオ、映画制作等、多岐にわたって様々な制作を行うウェディングビデオグラファーチーム。少数気鋭のチーム編成で映像制作を行なっている。
 
WEB:https://www.michinori-film.com
INSTAGRAM:https://www.instagram.com/michinori_film/
 
佐藤良祐
18歳の頃から映画制作に従事し、20代で仙台、東京、ドイツなど国内外の映画祭で選出、上映された。その後、制作会社に勤務して独立。ウェディングをはじめ、企業映像、web番組などジャンル問わず幅広く手がけている。近年ではTHE CAMP「素晴らしい世界」MV(2018)が、横浜、ダブリン、ロサンゼルスなど国内外の映画祭で選出された。DANCE HOUSE 黄金4422”Past and Future”(2019)がWILLIAMSBURG INTERNATIONAL FILM & MUSIC COMPETITIONにて準グランプリ。ノッティンガム国際映画祭オフィシャルセレクション選出。